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放射線治療センター

放射線治療の方法



放射線治療の方法

放射線は以下の治療を目的としての治療から、症状を和らげるための治療まで幅広い役割を担っています。

1. 治癒目的の治療(根治治療)

1. 放射線治療単独、(場合によっては抗がん剤と併用して行う)治療
放射線治療における基本的な照射法である外部照射法には、1門照射、対向2門照射、直交2門照射、多門照射、3門照射、4門照射、運動照射、振子照射、原体照射など様々な照射方法があり、治療部位に合わせて選択します。
2. 手術の前、後の治療(術前、術後治療)
がんを小さくして手術をしやすくするために手術前に放射線治療を行います。
また、手術後には再発の可能性を下げるために放射線治療をします。
3. 手術後再発に対する治療
手術をした部位から再発したがんは、遠隔転移がなければ放射線治療で治癒できる可能性があります。
抗がん剤と併用して治療することもあります。
再発したがんによる症状を緩和する目的でも放射線治療が行われます。
4. 全身照射
骨髄移植を施行する直前に、免疫力を落として移植される骨髄がうまく生着するためや、白血病などの再発を減らすために行います。

2. がんによる痛みなどの症状を和らげるための治療(緩和治療)

骨転移による痛み、脳転移による神経症状、がん組織による気管、血管、神経などの圧迫による症状を和らげ、QOL(生活の質)を向上することが可能な治療です。

当院での照射方法

当院では以下の治療方法を行うことができます。

1. 外部照射法

(1) 外部照射

外部照射は、高いエネルギーのX線や電子線などを、体の外から照射する方法です。
当院では、強度変調放射線治療(IMRT)や画像誘導放射線治療(IGRT)が可能で、より高精度な放射線治療の実施可能な放射線治療装置ノバリスTxとラディザクトX9がそれぞれ1台ずつ稼働しています。
【ノバリスTx】
ExacTrac X-Ray
  • KV-X線画像をステレオ撮像し3D画像照合
  • コプラナー、ノンコプラナー照射の両方に対応 ほぼ全ての治療でIGRTが可能
  • 6軸Robotic couchによる精密患者位置補正(X、Y、Z、Yaw、Pitch、Rollの補正が可能)
On-Board Imager(OBI)
  • KV Cone Beam CTによる3D Volume画像照合
  • コプラナー照射の治療でIGRTが可能
  • Cone Beam CTにより軟部組織の確認が可能
【ラディザクトX9】
ClearRT:ヘリカルkVCTイメージング
  • ClearRTが描画する再現性が高く鮮明な画像は、軟部組織の描出に優れ、詳細な観察と把握による適切な治療が可能となります。
    また、従来システムに見られたアーチファクトや歪みも低減され、柔軟で、高画質、大きな画像領域を描出が可能です。

(2) 強度変調放射線治療(IMRT)、ヘリカル照射、動体追尾照射

強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy:IMRT)は、照射野内の線量強度を変化させ多方向からの照射によって腫瘍体積に線量を集中させる照射法です。
病巣への原体性(conformity)を向上させて、リスク臓器の線量を十分に抑制しつつ投与線量の増加(dose escalation)を実現可能とします。
IMRTでは、マルチリーフコリメーターを動かすことによって、放射線に強弱をつけて照射することができます。

強弱をつけた放射線を多方向から照射することで、治療部位の形に合わせて放射線をあてることができます。
ヘリカル照射:ラディザクトX9
ヘリカルCT技術と放射線治療技術(IMRT)を融合し、寝台が移動しながら放射線治療を行うことを可能としています。

動体追尾照射:ラディザクトX9
ラディザクトX9にはシンクロニーと呼ばれ、呼吸などにより動きが生じる腫瘍を追尾しながら照射できる機能があり、腫瘍位置と呼吸位相の相関モデルにより、ターゲット位置を予測して追尾照射を行うことを可能としています。

(3) 定位放射線治療

定位放射線照射は、病変に対して放射線を集中させ、病巣に高線量をピンポイントで投与する方法です。
通常の放射線治療と比較して、周囲の正常組織にあたる線量を極力減少させることが可能で、照射回数を少なくすることができます。
保険による定位放射線治療が認められているのは、頭頸部腫瘍と体幹部では以下の疾患となります。

頭頸部
  • 頭頸部腫瘍(頭蓋内腫瘍を含む)
  • 脳動静脈奇形

体幹部
  • 原発病巣が直径5cm以下であり転移病巣のない原発性肺癌、原発性肝癌、原発性腎癌
  • 他に病巣がない3個以下の肺転移または肝転移
  • 転移病巣のない限局性の前立腺癌又は膵癌
  • 直径5cm以下の転移性脊椎腫瘍
  • 5個以内のオリゴ転移及び脊髄動静脈奇形

2. 前立腺がんの小線源治療

前立腺癌の放射線による治療法の一つにシード線源による前立腺永久挿入密封小線源治療があります。
この治療法は主に腫瘍が前立腺内に限局した早期がんに適応されます。
手術と比較して体への負担が少なく、また治療効果もほぼ同等の成績が得られています。

3. 内用療法

放射性同位元素で標識した薬剤を経口または静脈投与し、標的となる臓器や悪性腫瘍に選択的に取り込ませ、体内で放射線照射を行う治療が内用療法です。

当院では、以下の治療を実施しています。

(1) 甲状腺がんに対する術後のアブレーション

手術で甲状腺を完全に取り除いても、目では見えない微量の甲状腺組織が残る場合があります。
アブレーションは放射性ヨウ素の入ったカプセルを飲むことで、残っている甲状腺組織だけを攻撃し完全に取り除く治療です。

(2) バセドウ病に対する I-131内用療法

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に生産されて起こります。
内用療法は放射性ヨウ素のカプセルを内服し、放射性ヨウ素を甲状腺に取り込ませ甲状腺組織を破壊し甲状腺を小さくしホルモンを生産する力を弱くする治療法です。

(3) 去勢抵抗性前立腺がん骨転移に対する ラジウム-223内用療法

ラジウム-223は、骨の成分であるカルシウムと同じように骨に集まりやすい性質があり、注射で体内に送られると、代謝が活発になっているがんの骨転移巣に多く運ばれます。
ラジウム-223から放出されるα(アルファ)線が骨に転移した、がん細胞の増殖をおさえ全生存期間の延長を期待します。

(4) 神経内分泌腫瘍(NEN)患者を対象とした ルテチウム-177内用療法

ルテチウム-177は、事前の検査で腫瘍が「ソマトスタチン受容体」陽性であることが確認された神経内分泌腫瘍(NEN)患者に使用されます。

NEN患者さんの腫瘍細胞の表面には、ソマトスタチン受容体が多く発現しています。
ルタテラは、このソマトスタチン受容体が細胞に取り込まれる性質を利用したお薬です。
ソマトスタチンとよく似た物質にβ(ベータ)線及びγ(ガンマ)線という放射線を出す物質(ルテチウム-177)を結合させ、細胞の内側から腫瘍細胞に障害を与える治療方法です。