第3話 目薬とコンタクトレンズ
2004年7月/磐田市立総合病院 薬局
今回は点眼薬に関する話題として目薬のさし方、2種類以上処方されたときの注意点や保管方法などの説明とともに目薬とコンタクトレンズに関係する疑問やトラブルの原因についてご紹介します。
正しい点眼方法(目薬のさし方)とは?
点眼薬を正しく使用することで本来の治療効果を保て、量を多く使ってしまうことによる副作用の軽減や点眼薬の汚染の防止になります。
- 石けんで手を洗います。これは手の雑菌を落とし点眼薬を汚染しないためです。
- 下まぶたを軽く引いて点眼します。基本的には1滴で十分です。点眼の際に容器の先端がまぶたやまつげに触れると雑菌が入るのでふれないように注意します。
- 静かにまぶたを閉じてしばらくまばたきをしないで目をつぶっています。このことで薬が涙とともに涙嚢へ流れることを防ぎます。このため涙嚢部(目頭)を圧迫することも効果的です。この際、眼球を直接押さないことが大事です。涙嚢部の圧迫や目をつぶることで点眼液の眼内での効果が高まることが期待できるとともに、緑内障の点眼薬などでは全身への吸収を抑え、副作用を軽減させることが期待できます。
- 目からあふれ出た点眼薬は薬局で販売しているふき綿などでふき取ります。目からあふれ出た点眼薬は接触性皮膚炎の原因になることもあるのでふき取ります。
2種類以上の点眼薬が処方されたときはどうすればいいの?
一般に先に点眼した薬は後の点眼液によって洗い流されます。この影響をうけないように少なくても5分以上は間をあけてください。点眼の順序は医師の指示がなければどれからでもかまいません。眼軟膏が処方されたときは基本的に最後に塗るようにしてください。
点眼薬の保存は?
点眼後はしっかりとキャップをし、袋が付いている場合は入れて保管してください。遮光保存(光を避けて保存)や冷所保存の指示がある場合はそれに従って保管してください。特に注意がなくても直射日光を避け、なるべく涼しい場所に保管してください。夏場の自動車内には放置しないでください。
使いかけの点眼薬はいつまで使えるの?
開封後は正しく使用しても、1滴点眼するとその分空気が容器の中に入り、汚染の可能性があります。そのため特に指示のない場合の使用期限は原則1ヶ月を目安にしています。
コンタクトレンズの上から点眼していいかしら?
次に点眼薬とコンタクトレンズとの関係について考えてみます。
製薬会社やコンタクトレンズメーカーに問合せると、「医師の指示に従ってください。」と回答されますが、当院の眼科医師の指示は「防腐剤を含まない人工涙液目薬以外はコンタクトレンズをはずして、点眼してください。」です。
製薬会社やコンタクトレンズメーカーに問合せると、「医師の指示に従ってください。」と回答されますが、当院の眼科医師の指示は「防腐剤を含まない人工涙液目薬以外はコンタクトレンズをはずして、点眼してください。」です。
コンタクトレンズ装着中の点眼薬の問題点
1. 点眼薬中の防腐剤の角膜への影響
防腐剤としては塩化ベンザルコニウムという成分がよく使われ、その濃さと接触時間に関連して角膜障害を引き起こすとされています。しかし、通常のまばたきをしていれば、涙で流しさるために問題はないと考えられます。
2. 点眼薬の成分の角膜への影響
薬局で市販されている点眼剤は充血を改善する血管収縮剤を含むものが多く、特に注意が必要です。これはコンタクトレンズ装着によって酸素が不足しがちなところにこれらの薬を点眼すると、角膜の血管が収縮し酸素不足が助長される可能性が考えられるためです。
(注意点)市販の目薬の箱に書かれている「コンタクトレンズ」に関する注意書きをお読みください。
(注意点)市販の目薬の箱に書かれている「コンタクトレンズ」に関する注意書きをお読みください。
3. コンタクトレンズへの防腐剤の影響
防腐剤はコンタクトレンズに吸着されやすく角膜への接触時間が長くなることで角膜への影響が考えられます。またレンズの変形、白濁や変色する可能性があります。このため防腐剤を含まない人工涙液目薬が薦められています。
4. レンズの種類による影響の違い
- ハードコンタクトレンズ
レンズを装着したままで一般にどの目薬をさしてもかまいません。 - ソフトコンタクトレンズや酸素透過性ハードコンタクトレンズ
装着したまま目薬をさすと、レンズに目薬の成分や保存剤が徐々に吸着されて目に刺激を与えたり、レンズの性状に影響を与えることがあります。装着時でも使用可能な人工涙液タイプの点眼液以外は用いないようにしましょう。
点眼薬を使用される場合には、防腐剤を含まない人工涙液目薬以外は、コンタクトレンズを外してから点眼し、点眼後5分以上の間隔をあけて装着することが望ましいでしょう。
参考資料
クラヤ三星堂 健康情報 / 参天製薬 服薬指導資料