グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


くすりの話

第29話 簡易懸濁法について


2011年6月/磐田市立総合病院 薬剤部

自分で口から食事が十分に摂れない患者さんに対し、体外から胃や腸に通したチューブを用いて栄養補給をすることがあります。この場合、内服薬の投与もチューブを介して行うことになります。
以前は錠剤やカプセル剤を粉末状にしていましたが、現在当院では安全で確実な投薬法である『簡易懸濁法』という方法で対応しています。
【簡易懸濁法とは…?】
薬を経管栄養チューブから投与する場合に錠剤やカプセル剤を粉末状にせず、そのままぬるま湯(約55℃)に入れて溶かし崩壊させて投与する方法です。

錠剤やカプセル剤を粉末状にしないことによるメリット

  1. 薬の効果・安定性が保たれます。
    投与直前まで錠剤・カプセルのままなので、粉末状にしたときと比べて光・温度・湿度・配合変化などの影響を受けません。

  2. チューブを詰まらせません。
    『内服薬経管投与ハンドブック』(じほう)により薬のチューブ通過性を確認しています。

  3. 薬の量が減っていません。
    粉末状にすると、調剤時に薬の量が減ってしまいます。

  4. 薬の確認ができます。
    簡易懸濁法では錠剤・カプセル剤のままなので、投与直前まで薬の確認ができます。

  5. 中止・変更が簡単に対応できます。
    数薬品を一緒に混ぜた粉薬では、中止・変更に対応できません。

  6. 薬代が安くなります。
    同じ薬でも、錠剤よりも粉薬の方が高いことが多くあります。

  7. 待ち時間が短縮されます。
    簡易懸濁法では錠剤・カプセル剤のままなので、調剤にかかる時間が粉末状にするよりはるかに少なく、患者さんの薬の待ち時間が短縮されます。

投与に注意が必要な場合

薬の中には、表面がコーティングされているため、水が錠剤内に浸透しにくいものがあります。
そのような薬は、軽く叩いて錠剤に亀裂を入れることで投与が可能になります。

また、以下のような薬は簡易懸濁できません。

1. 特別な工夫がしてある薬

例) 徐放剤
効き目が長時間持続するように作られた薬
血中濃度が急に上がり、過量による副作用の危険があります。また、持続性も失われます。
腸溶剤
胃では溶けず、腸で溶けるように作られたお薬
胃腸障害の発現や、胃酸によって効果が失われることがあります。

2. 安定性に問題がある薬

簡易懸濁法に使用するぬるま湯の温度(55℃)で分解・失活してしまうなど、安定性に問題がある薬
簡易懸濁法が可能な薬かどうかは、薬剤師までお問い合わせください。
  1. ホーム
  2.  >  くすりの話
  3.  >  第29話 簡易懸濁法について