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診療科

乳腺外科



科の特徴

周辺の総合病院やかかりつけ医と連携して乳腺疾患の診断治療を行っています。定期的に多職種の参加する乳腺カンファレンスを開催し、情報の共有と診療の向上を図っています。
非触知早期乳がんの診断精度を高める努力をしています。
隣接する健診センターは超音波併用乳癌検診の臨床試験(J-START)に参加しており、 マンモグラフィ及び乳房超音波画像の読影資格を有する医師が精密検査の必要性の有無を判定します。BRCA陽性者の任意検診も行っています。検診で要精査となった場合や、 乳腺のしこりや乳頭分泌などで来院された患者さんに対して視触診、断層撮影 (トモシンセシス)機能を有してより正確な診断が可能なマンモグラフィ装置、高機能超音波診断装置、 必要に応じて3テスラ超高磁場MRI装置による精密検査、乳管造影、細胞診、針生検、マンモトーム(吸引式組織生検)を行います。MRIで同定され要精査となった場合は、MRI画像を超音波機器で表示させてMRI/超音波融合画像ガイド下乳房針生検を行っています。病理組織学的診断は病理専門医が行います。

最近は生涯で女性の9人に1人は乳がんにかかるといわれ、2023年のがん統計予測では年間98000人が乳がんと診断され、約1万6千人が亡くなられています。30~64歳では死亡原因の1位です。 発生を予防する方法はありません。多くは乳管内に発生し、1個のがん細胞が触知可能な大きさ(1~2cm)になるには10年以上かかるとされ、 画像検査を行うことで触らない時期のがんを拾い上げるチャンスは増えます。
乳管内のがんに分泌液中のカルシウムが沈着し、マンモグラフィで特徴的な石灰化として認められ、がん発見の手がかりになることがあります。
40歳未満や授乳中などでマンモグラフィによる診断が難しく、超音波検査が適当な場合があります。 乳がんはいつか必ず自分で発見できる状態になりますから入浴時や着替えの際に乳房を触る生活習慣は重要です。乳房の一部が硬いなど症状があれば健康保険を利用して病院で検査を受けてください。
がん検診受診率が50%となり早期治療に結びつけば死亡率は4%低下するといわれます。2020年の磐田市の乳がん検診受診率は49.8%です。検診にお知り合いを一人誘って受診率を2倍にして、 女性の命が少しでも救われるようにご協力ください。

おもな乳腺疾患について

※患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年web版より引用

乳腺線維腺腫

乳腺線維腺腫とは,乳房の代表的な良性腫瘍で,10 歳代後半から40 歳代の人に多く起こります。ころころとしたしこりで,触るとよく動きます。マンモグラフィや超音波検査などの画像検査や針生検などで線維腺腫と診断された場合は,特別な治療は必要なく,乳がんの発症とも関係はありません。閉経後には徐々に縮小してしまうことが多いのですが,しこりが急速に大きくなる場合は,摘出することもあります。

葉状(ようじょう)腫瘍

*写真は当院症例

初期のものは線維腺腫に似ているものの,急速に大きくなることが多いのが特徴です。ほとんど良性ですが,なかには良性と悪性の中間のものや,悪性のものもあります。治療の原則は手術による腫瘍の完全摘出です。葉状腫瘍は腫瘍のみをくり抜いて摘出するだけでは非常に再発しやすいので,腫瘍の周りに少し正常組織をつけて,腫瘍をくるむように確実に摘出します。乳房全体を占めるほど大きな腫瘍では,乳房全切除術が必要になります。この場合,同時乳房再建術は保険診療で行うことが可能です。針生検の検査結果だけでは乳腺線維腺腫と区別がつかないこともあるので,臨床経過から葉状腫瘍が疑われる場合は摘出が勧められます。

乳腺炎

乳腺炎とは,乳汁のうっ滞(とどこおり)や細菌感染によって起こる乳房の炎症で,赤く腫れたり,痛み,うみ(膿),しこりなどの症状がみられます。特に授乳期には,母乳が乳房内にたまり炎症を起こす,うっ滞性乳腺炎が多くみられます。乳頭から細菌が侵入すると化膿性乳腺炎となって,うみが出るようになります。症状を改善させるために,皮膚を切開して,うみを出しやすくする処置が行われることがあります。一方,授乳期以外に,乳房の広い範囲に乳腺炎が起こることもあります。原因はよくわかっていませんが,乳房の中にたまった分泌液にリンパ球などが反応して起こるのではないかと考えられています。また,乳輪下にうみがたまることがあります(乳輪下膿瘍といいます)。これは陥没乳頭の人や喫煙者に起こりやすく,治りにくい乳腺炎で,手術が必要になる場合があります。これらの乳腺炎は乳がんの発症とは直接関係ありません。ただし,痛みがないのに乳房が腫れる場合は,炎症性乳がんといって,炎症症状を呈する,まれな乳がんであることがありますので,このような場合にはためらわずに医療機関を受診してください。

乳腺症(病理学用語)

いわゆる乳腺症は,30~40歳代の女性に多くみられる乳腺のさまざまな良性変化をひとくくりにして呼ぶときの総称です。病理学的には,乳腺の良性変化には,囊胞のうほう,乳管内乳頭腫,腺症など,さまざまな病態が含まれており,それが乳腺の一部に集まるとしこりとして触知することがあります。しこり以外の症状としては,硬結(しこりではないが,限局した硬い部分),疼痛(乳房痛),異常乳頭分泌が挙げられます。乳腺症には,主として卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンというホルモンがかかわっており,閉経後に卵巣機能が低下すると,多くの場合,これらの症状は自然に消失します。
硬結は,片側あるいは両側の乳房に,大きさがふぞろいの境界不明瞭な平らで硬いしこりとして触れることが多く,月経前に増大し,月経後に縮小します。硬結部は何もしないでも痛むか,押さえると痛むことが多く,この痛みも月経周期と連動します。月経周期と連動するしこりや痛みはあまり心配する必要はありませんが,月経周期に関係のないしこりに気づいたら,まずは近くの医療機関を受診してください。
以上のように,乳房にはしこりをはじめ,さまざまな症状がみられる場合があります。症状のみで病名を確定することは難しいことが多く,乳房のしこりなどの症状や異常を自覚した際には,医療機関で診察を受け,病名が確定した後に治療の要否を判断することが大切です。

乳がんの治療について

詳細はこちらのページをご確認ください。

リハビリテーションについて

手術や放射線治療後の影響で、あるいは乳がんの症状として上肢のむくみ(リンパ浮腫)や関節可動域の制限などが生じることがあります。 術後診療計画にリハビリテーション指導を組み込んで、患者さんが日常ご自分で行うことができるリハビリテーションを指導しているほか、 随時リハビリテーションが行える体制をとっています。リンパ浮腫の予防や治療に関してはリンパ浮腫外来をご紹介いたします。

乳腺サポートチームについて

心理士・ケースワーカー・看護師・放射線技師・臨床検査技師・リハビリテーション科スタッフ・薬剤師・医師などから構成される乳腺サポートチームが、 特に乳がん患者さんとそのご家族の抱えるこころの問題や社会的問題などに対してそれぞれの立場から支援をできるような体制をとっています。

治療成績

2000年1月-2013年12月/0~2B期 n=585

2000年1月-2013年12月/3A~4期 n=63

2000年1月-2013年12月/0~3C期 n=643

2009-2019年追跡可能乳癌10年生存率

▼ステージ0 n=126:100.0%
▼ステージ1 n=142:95.8%
▼ステージ2 n=206:79.5%
▼ステージ3 n=71:60.8%
▼ステージ4 n=152:32.2%

診療統計

2021年 2022年 2023年
乳腺悪性腫瘍に対する根治術数 82 87 104
乳房温存術数(乳房温存率%) 37(45%) 44(50%) 44 (42%)
乳房再建に関する手術数 3 15 18
初回薬物治療中の新規乳腺悪性腫瘍数 60 33 40
そのほかの手術 35 14 16
マンモトーム生検数 14 18 26

スタッフ紹介

伊藤 靖

職名 第2医療部副部長
乳腺外科部長
がん診療副センター長
出身校 浜松医大
取得年 平成2年
専門領域 乳腺外科
呼吸器外科
資格 日本外科学会専門医・指導医・認定医
日本胸部外科学会認定医
呼吸器外科認定登録医
日本乳癌学会乳腺専門医・指導医
マンモグラフィ読影認定医
乳腺超音波読影認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医・暫定教育医
日本臨床腫瘍学会暫定指導医
乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
緩和ケア研修(PEACE)修了

後藤 圭吾

職名 乳腺外科部長
出身校 浜松医大
取得年 平成元年
専門領域 乳腺外科
小児外科
資格 日本外科学会専門医・指導医・認定医
日本乳癌学会認定医
マンモグラフィ読影認定医
日本小児外科学会専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
インフェクションコントロールドクター(ICD)
緩和ケア研修(PEACE)修了

村松 さゆり

職名 医師
出身校 浜松医大
取得年 令和2年
専門領域 乳腺外科
資格 緩和ケア研修(PEACE)修了
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