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トピックス

合併症は予防できる! 寄り添い支える糖尿病チーム


院内の糖尿病教育活動と、地域医療との連携。あたらしい「合併症早期発見プロジェクト」もスタート。

厚生労働省の令和元年(2019年)国民健康・栄養調査によると、「糖尿病が強く疑われる人」の割合は、男性19.7%、女性10.8%でした。男性の5人に1人、女性の10人に1人と非常に多くの方がこの病気にかかわりがあることがわかります。

糖尿病は、食事から吸収したブドウ糖を体内でエネルギーに変える時に必要な「インスリン」というホルモンが、不足したり、うまく働かなくなったりした結果、ブドウ糖が血液中に余った(血糖が高い)状態が続く疾患です。高血糖はいろいろな感染症を引き起こす原因になりますが、気づかないうちに血管がつまったり傷ついたりした結果、神経障害、網膜症、腎症などの合併症が進むことも知られています。心筋梗塞や脳梗塞などの生命に関わる疾患も糖尿病を背景に発症します。

私たちは磐田市立総合病院の糖尿病診療を担当している糖尿病チームです。最初は、患者さんが糖尿病について勉強する「糖尿病教室」を充実させる目的で発足しました。そこから10年あまり経過し、現在は教室のことはもちろん、血糖測定器械のこと、当院で処方される糖尿病薬のこと、フットケア外来や腎症予防外来のこと、など多方面にひろく活動を行っています。当院で分娩される患者さんの妊娠糖尿病管理にも参加しています。また病院から地域へと展開し、かかりつけ医の先生方や行政と協力した合併症早期発見プロジェクトもすすんでいます。

糖尿病はみなさんの生活にむすびついた疾患です。チームには、医師だけでなく、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師、歯科衛生士がメンバーとなり、それぞれの立場から専門知識をもちより、充実した内容で糖尿病教育活動を行っています。合併症の診療については、多くの専門科の先生方がご尽力くださっていることはいうまでもありません。今回は私たちの活動をご紹介し、当院の糖尿病診療に対する取り組みを知っていただきたいと思います。

糖尿病・内分泌内科 部長 飯野 和美

「糖尿病療養指導士」が患者さんをサポート

インスリン注射の操作説明をする薬剤師

糖尿病療養指導士とは、糖尿病治療に最も大切な自己管理を患者さんに指導する医療スタッフのことを指し、高度でかつ幅広い専門知識を持っ
て患者さんの糖尿病セルフケアを支援しています。当院でも看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師が資格を取得しており、多くの職種で糖尿病患者さんへの支援を行っています。

糖尿病は自覚症状が乏しいため放っておいてしまう方が多い病気です。気づいた時には失明や腎機能低下といった合併症を引き起こし、生活の質が低下してしまいます。糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法の3本の柱で成り立っていますが、患者さんごとに生活環境や合併症の程度が違うため治療も患者さんごとに合わせたものにしていく必要があります。それぞれの専門分野だけでなく多くの職種と連携しながら、患者さんに合わせた治療を提案・継続していくことをサポートできるように日々業務に励んでいます。

糖尿病療養指導士として糖尿病がどんな病気かを正しく知ってもらい、患者さんが不安なく糖尿病の治療を行い、セルフケアを継続することを支援できるように今後も取り組んでいきます。

糖尿病腎症重症化予防外来を開設

糖尿病腎症の患者さんに療養指導を行う看護師

腎機能不全で人工透析を導入した患者さんの約4割の方が糖尿病を原因とした糖尿病腎症と言われています。“糖尿病発症後、知らない間に合併症が進行し、気がついたら腎臓の機能が失われ血液透析が必要”、そんな恐ろしいことにならないよう、糖尿病腎症を早く見つけ、悪化を防ぐために取り組むことが重要です。

当院では、『糖尿病腎症重症化予防外来』を開設しています。糖尿病腎症のある方に対して医師、看護師、管理栄養士が連携し、透析導入を少しでも減らすための療養指導を行っています。一人ひとりの病気に対する想いや考え方をよく聞いたうえで、専門的な知識と新しい知見に基づき、治療方法や食事内容、新しいライフスタイルを一緒に考えていきます。

「糖尿病から腎臓を守ろう」を合い言葉に、合併症の小さい芽を早めに発見し、進行を抑えるために、血糖値だけでなく血圧や脂質異常症にも注意していきます。良い状態を維持していけるように、私たちは糖尿病から腎臓を守るための専門職として支援していきます。
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