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2060年先進国では 子宮頸がんがなくなる!?  新しくなった子宮頸がんワクチン



ワクチンの安全性が確認され、接種推奨を再開

子宮頸がんは女性の多くが“一生に一度は感染する”と言われているHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因で発症します。日本では年間に約1.1万人が子宮頸がんにかかり、約2,900人が亡くなっています。子宮頸がんは、子宮の頸部(子宮の出口に近い部分)にできるがんで、若い世代の女性に多く発症するのが特徴です。20歳代から罹患者数が増え始め、30歳代までに年間約1,000人の女性が治療で子宮を失い、妊娠ができなくなってしまいます。

HPV感染はHPVワクチン接種で防ぐことができます。日本では2013年に定期接種(公費負担)となりましたが、広範囲の痛みや運動障害などの多様な症状が副反応疑いとして報告され、2013年6月、積極的な勧奨が控えられました。その後、ワクチンの安全性が確認され、接種への不安や多様な症状に対処する医療連携体制、相談体制が確立されました。これを受けて2022年4月より小学校6年生~高校1年生相当の女性に対するHPVワクチンの接種推奨が再開されました。高校2年生から今年26歳になる方も、2025年3月まではキャッチアップ接種として無料で接種できます。

約90%の子宮頸がんを予防するワクチンを公費負担で導入

さらに今年度新しいワクチンが公費負担で導入されました。今までの4種類の型を予防する4価ワクチンでは約70%の子宮頸がんを予防できましたが、新しい9価ワクチンでは約90%の子宮頸がんを予防できるといわれています。

2019年、全世界の子宮頸がん罹患率の予測モデルでは、9価HPVワクチンの接種率80%以上、生涯2回の子宮頸がん検診を70%以上の女性が受ければ、先進国は2060年ごろまでに、開発途上国も今世紀中に子宮頸がんが排除できる可能性が示されました。
 
子宮頸がんはHPVワクチンと検診で予防可能です。日本のワクチン接種率は1.9%、子宮頸がん検診受診率は43.7%であり、子宮頸がんの撲滅には程遠い状態です。

HPVワクチンに関しては、その高い効果が証明されています。健康異常や不安・疑問をお持ちの方は、市町村や当院産婦人科外来に相談してください。

徳永 直樹

第2医療部副部長
兼 産婦人科部長
兼 周産期母子医療センター長
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