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最近太ったかな?にひそむ「心不全」の危険



ペースメーカー埋め込みを行っている様子

治療方針をスタッフ間で共有している様子

がんに次ぎ、心不全を含めた心疾患は死亡原因第2位

心臓は、全身に血液を循環させるポンプの役割があります。心筋という力強い筋肉が、1分間に60回から100回ほど規則的に収縮を繰り返すことで、全身に血液を送り出します。心臓は4つの部屋に分かれ、間にある弁が血液の流れを正常に保っています。

心臓は休みなく働き続けるため、使い続けてきた高齢者では心不全になりやすいということは容易にご理解いただけると思います。65歳以上の人口割合が約3割となった日本人では、死因のトップは相変わらず「がん」であり、心不全を含めた「心疾患」が第2位となっています。

心不全は、高血圧や心筋症(心筋の病気)、弁膜症(弁が狭くなったり、きっちり閉まらなくなる状態)、心筋梗塞(心臓を養う血管の病気)などの影響で、心臓がポンプの役割を十分に果たせない状態をいいます。このような状態では図1のような症状がでてきます。

一般向けにわかりやすく表現した定義は「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」とされています。

自分は大丈夫と信じていても、高齢になれば心不全のリスクは高まります。図2に心不全の進展ステージを示していますが、リスクの段階から予防に努め、進展を抑えることが大切です。早い段階で予防してステージを進ませないようにしましょう!

生活習慣を見直し、定期的な検診を

高血圧や糖尿病は、心不全の危険因子となります。自覚はなくても、症状が進んでいることもあります。心不全を防ぐには、高血圧や糖尿病などの基礎疾患を軽症のうちから治療することも大切です。日常生活では、表1に揚げた健康ハート10ヵ条を守ることが大切です。

また定期的な検診や後述する心臓ドックなどでリスクを把握し、早期治療を心がけてほしいと思います。

自分の状態の把握が予防の第一歩

磐田市健康増進課の調べでは、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常、糖尿病を持つ人の割合が高くなっています。血圧や体重測定、むくみチェックを毎日行い、自分の状態を把握する「セルフモニタリング」や、減塩を意識した食事、有酸素運動と筋力トレーニングを組みあわせた運動を心がけましょう。後述する「心不全予防体操」を参考にしてください。

当院の循環器内科では、心不全で入院した患者さんに「心不全手帳」をお渡しして、体重や血圧等の記録付けを促しています。体重の増加などの変化に気づき、心不全の再発予防につなげるのが目的です。

併せて、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士などの専門職がそれぞれの視点で患者さんを観察し、多職種で共有すべき内容を記載する「心不全情報共有シート」も活用しています。「シート」と「手帳」はセットで患者さんが携帯し、退院後、外来受診の際も活用しています。

心不全の予防は、早い段階から始めることが大切です。開業医の先生方との協力や市民の皆さんへの周知を進めていきたいと思います。

松永 正紀

循環器内科部長
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