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トピックス

早期発見・治療で治癒が期待できる乳がん


乳がんの診断から治療とリハビリまで、チームでトータルケアを提供

検診受診率の向上が早期発見の鍵

乳がんは、日本女性が最も発症しやすいがんです。統計上、生涯で女性の9人に1人の割合で乳がんを発症しています。早期に発見し、適切に治療すれば、治癒する確率が高いのも特徴です。がんの発生から1~2cmの大きさになるまでに10年程度かかるといわれ、マンモグラフィや超音波などの画像検査で、ごく小さながんを見つけるチャンスは増えます。

がん検診受診率が50%となり早期治療に結びつけば死亡率は4%低下するといわれます。2018年度の県全体の受診率45.4%と、目標までもう一息です。ぜひ、お知り合いを誘って検診をお受けください。

当院は、がん診療連携拠点病院として、乳がんの検診から診断・治療、術後の専門外来、そしてリハビリや心のケアまで、幅広い支援体制を整えています。乳癌学会専門医、指導医などの資格を持つ医師を中心に3名が診療にあたり、看護師や薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学・作業療法士、臨床心理士、ケースワーカーなどで構成する乳腺サポートチームが、それぞれの専門性を生かして、チームでトータルケアを提供しています。定期的にカンファレンスを持ち、情報の共有と診療の向上を図るほか、地域の病院やかかりつけ医とも連携し、地域全体で支えたいと考えています。

充実した設備と多職種の技術と思いやりで普通の生活ができるように支える

マンモグラフィは、マンモグラフィ撮影認定技師のうち、高い撮影技術と高度な読影力を認められ、A評価を取得した女性技師を中心に担当し、希望に応じて乳腺濃度(高濃度乳房など4タイプ)をお知らせします。乳腺濃度が高い方は、通常のマンモグラフィのみでは判定が難しい場合があり、トモシンセシス(乳房断層撮影)の追加や超音波検査と併用することで精度の高い検査が期待できます。隣接する健診センターは超音波併用乳癌検診の臨床試験(J-START)に参加した実績があり、両検査の読影資格を持つ医師が精密検査の必要性の有無を判定しています。精密検査としては、造影MRIの追加や、2~3mmの太さの針を用いた針生検により組織を採取して調べます。

乳がんと診断された場合は、診療ガイドラインに沿って手術、放射線による局所治療、ホルモン療法、分子標的療法、抗がん剤治療を組み合わせて治療します。手術は、根治性を損なわないことを原則に、できるだけ乳房を温存したいと考えていますが、乳房全摘が必要なときは乳房再建についても提示します。赤外線観察カメラシステムを利用してリンパ流を可視化し、術後にリンパ浮腫の発生を抑えるよう配慮しています。

乳房形成や再建を希望する方は、当院形成外科と連携して、自家組織やインプラントによる形成や再建を計画していきます。術後のリンパ浮腫や可動域制限に対するリハビリテーションを行うほか、リンパ浮腫外来を開設し、退院後も安心して治療を継続できる体制も整えています。治療中の患者さんには当院スタッフが寄り添い、家族とともにできるだけ普通の生活が送れるよう支えていきたいと思います。

乳腺外科部長 伊藤 靖

乳房の変化を感じたら、ためらわずに受診を

乳がんは、他のがんに比べて、30歳から40歳代の比較的若い世代も多く発症する病気です。そのため患者さんは、乳がん治療を受ける上で、妊娠・出産をどうするか、仕事や育児をしながら治療を続けられるのかなど、様々な悩みを抱えることになります。

最近は、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)という近親者に遺伝して発症する可能性が高い乳がんに関する情報も増えてきています。まずは患者さんへ正しい情報をお伝えすることが大事であり、私たちは丁寧な説明と、様々な意思決定のサポートを心がけています。

患者さんのなかには検診を受けずに過ごし、乳がんのしこりに気づいても受診をためらい、かなり大きくなってから受診する方がいます。乳がんは早期発見ができれば根治できる可能性が高い病気です。40歳未満の方はご自身の乳房の形や硬さなどの状態に気を配り、40歳以上の方はさらに定期的なマンモグラフィ検診を受けていきましょう。乳房のしこりなど変化を感じた場合はためらうことなく医療機関を受診しましょう。日常生活の中で乳房を意識する習慣(ブレスト・アウェアネスといいます)を心がけてください。

乳がん看護認定看護師

新しく開設した『リンパ浮腫外来』って何?

人間の体のいたるところには、リンパ管という細い管が張り巡らされています。この管の中を流れるのがリンパ液で、体の組織に溜まっている水分や老廃物を回収し、きれいにして血管へ返すのです。

リンパ液の流れが悪くなると、むくみ(リンパ浮腫)がおこります。がんの手術でリンパ節をとったり、放射線治療の影響でリンパ管が傷ついたりすると、リンパの流れが悪くなります。放っておくとむくみがひどくなり、腕が上手く動かしにくく日常生活に支障をきたすようになります。また、小さな傷ができただけで細菌感染症となり、入院治療が必要となってしまいます。

当院では、リンパ浮腫専門の医師が診察し、専門的知識と技術をもったスタッフによってリンパ浮腫外来が新しく開設されました。早期から適切な治療とケアを行い、患者さん自身ができる正しいケア方法を指導します。
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